高値からの下落率と最大ドローダウン
株価や指数がどれだけ大きく下がったかを言うとき、基準はふつうそれまでの最も高い値です。高値からの下落率は、その日の値 ÷ その日までの最高値 − 1で計算し、新高値をつけた日は0、それ以外の日はマイナスになります。この値を毎日つないで描いたものを下落率曲線、あるいは水に沈んだ深さにたとえてアンダーウォーターチャートと呼びます。最大ドローダウン(MDD)は、決めた期間の中でこの値が最も深かった瞬間です。リターンが「結局いくら稼いだか」を表すなら、最大ドローダウンは「その間どれほど深い穴を通らなければならなかったか」を表します。同じリターンでも、最大ドローダウンが大きい道のりは実際に耐えるのがずっと難しくなります。
損失と回復の非対称性
失った割合と取り戻すのに必要な割合は同じではありません。100が50になれば50%の損失ですが、50が再び100になるには100%上がる必要があります。一般式では、d だけ失ったとき回復に必要な上昇率は 1 ÷(1 − d)− 1 です。下落が深くなるほど必要な上昇率は急激に大きくなります。そのため下落が小さいときの回復と大きいときの回復は性質が違い、非常に深く下がった資産が元の高値を取り戻すには長い時間がかかりやすくなります。
- −10% → 回復に+11.1%
- −20% → +25%
- −30% → +42.9%
- −50% → +100%
- −80% → +400%
下落期間・回復期間・全体の水面下期間
「どれだけ長くかかったか」も一つの数字で言うと混乱します。ふつうは三つに分けます。高値から安値まで下がった下落期間、安値から直前の高値を再び超えるまでの回復期間、そして両方を合わせた全体の水面下期間です。下落は短く回復は長いことが多く、同じ下落率でも回復期間は大きく違うことがあります。下の図は例の価格で三つの部分を示します。上段は価格、下段はその日の高値からの下落率です。
例:14本目の足の高値130から26本目の足の安値78まで−40%下がりました(下落期間12本)。安値から高値130を取り戻すには+66.7%が必要で、50本目の足で再び超えました(回復期間24本、全体の水面下期間36本)。下段は毎日の高値からの下落率です。
実際の記録に見る長い回復
大きな指数でも、高値を取り戻すのに長い時間がかかったことがあります。このサイトの指数暴落と回復の記録ツールで Yahoo Finance の日足の全記録を測ると、S&P 500 は1929年9月の高値を1954年9月にようやく取り戻し(約25年)、ナスダック総合指数は2000年3月の高値を2015年4月に取り戻し(約15年)、日経平均株価は1989年末の高値を2024年2月に上回りました(約34年)。これらの数字は配当を除いた価格指数ベースです。配当を再投資したとみなせば回復はもっと早くなり、物価を差し引いた実質価値で見ればもっと遅くなることがあります。逆に深い下落の後、数か月で高値を取り戻した例もあります。大切なのは平均的な回復期間ではなく、回復期間の幅が非常に広いという点です。
回復期間を変えるもの
同じ下落でも、何を基準に測るかで回復期間が変わります。価格指数と配当込み指数、現地通貨とウォン換算、一括投資と積立は、それぞれ違う回復時点を生みます。積立で入れ続ける人は、下落局面で安く買った数量のおかげで、元本ベースの回復が指数の高値回復より早く来ることもあります。個別銘柄は指数よりはるかに多様です。指数は脱落した銘柄を外して新しい銘柄を入れながら続きますが、個別企業は高値を最後まで取り戻せなかったり、上場廃止になったりすることもあります。指数の回復記録を個別銘柄にそのまま当てはめてはいけない理由です。
- 配当を含むか:配当を再投資すると回復が早まる
- 通貨:ウォンに換算すると為替が下落と回復を変える
- 物価:実質価値で見ると回復が遅れることがある
- 積立かどうか:入れ続けると元本ベースの回復時点が変わる
- 指数と銘柄:指数は銘柄の入れ替えで続くが、個別銘柄は回復しないことがある
バックテストで最大ドローダウンを読む
売買ルールを過去の相場で試すバックテストでも、最大ドローダウンはリターンと同じくらい重要な数字です。ルールの最大ドローダウンを、そのまま持ち続けた場合(保有)の最大ドローダウンと並べると、ルールが下落をどれだけ避けたかと、その代わりに上昇をどれだけ逃したかが一緒に見えます。ただし最大ドローダウンは過ぎ去った一本の道で生じた最も深い値にすぎず、これからそれより深い下落が来ないという意味ではありません。期間を変えると最大ドローダウンが大きく変わるルールなら、その数字は信じにくいでしょう。下落がどれだけ深かったかとあわせて、どれだけ長く水面下にいたかも見ます。バックテストのほかの落とし穴は「バックテスト結果の読み方」の記事に整理しています。
下落を自分の状況に置き換えてみる
最大ドローダウンをパーセントだけで見ると、実感がわかないことが多くあります。自分の金額に置き換えるほうが現実的です。例として1,000万ウォンが−40%を経ると評価額は600万ウォンになり、再び1,000万ウォンになるには+66.7%が必要です。その期間に生活費やまとまったお金が必要で売らなければならないなら、損失が確定します。そのため下落と回復期間は「この資産がどれだけ危険か」だけでなく、「そのお金をいつ使うのか」とあわせて考える必要があります。数年以内に使うお金を、回復に何年もかかるかもしれない資産に置くことは、リターンとは別のリスクです。下落相場で判断が揺らぐ理由は「判断を揺さぶる繰り返される偏り」の記事を参考にしてください。
このサイトのツールで見る
このサイトの指数暴落と回復の記録は、韓国の総合株価指数・S&P 500・ナスダック・日経平均・ダウや好きな銘柄を選ぶと、Yahoo Finance の日足の全記録でログ価格チャートに下落区間を塗り、高値からの下落率曲線、基準下落率(10%・20%・30%)以上の下落区間の高値・安値・回復日・回復期間の一覧、いまの下落率、同じだけ下がった日以降の6か月・1年リターンの事例と全月末ベースの比較値を表示します。株式戦略バックテスターは、国内外の株式と ETF の実際の過去相場で売買ルールのリターン・最大ドローダウン・勝率を保有と比べます。過去の事例はふつう数件から十数件なので、一つ二つの事例が結果を大きく変えることもあわせて覚えておきます。
限界とお断り
この記事の図は仕組みを示すための例の価格で、実際の資産の記録ではありません。実際の指数の回復期間はこのサイトのツールが Yahoo Finance の記録で測った値で、記録が始まる前の高値はわからず、データ提供元によって日付が少し違うことがあります。過去の下落と回復は、次の下落の深さや回復の時期を教えてくれません。この記事は下落と回復期間の読み方を説明したもので、特定の資産の売買を勧めるものではなく、投資助言ではありません。
🌍 検索エンジンでさらに調べる
ボタンを押すと、そのエンジンでこのキーワードを検索します